FABRIC(ATION)
2019.10.19-20
テキスタイル産地ネットワーク 2019 in 有松
伝統工芸として今もなお日本各地に残り、戦後復興の中心を担った繊維産業は、地域の歴史や生活の移り変わりを映す鏡のような存在だった。しかし1990年代以降、20年以上にわたり日本国内の繊維産業は縮小を続け、生産者の高齢化や持続的な経営などさまざまな課題が日ごとに顕在化している。複雑な構造を持つ繊維産業の障壁を乗り越え、私たちは抜本的な変革の必要性に迫られている。
2017年、東京で開催された第1回テキスタイル産地ネットワーク。繊維産業の上流から下流まで、さまざまな工程で新たな試みを仕掛ける人びとが日本各地から集まり、持続的な産業や産地のあり方について2日間にわたり議論を交わした。2018年には会場を久留米に移し、地域文化商社を標榜する㈱うなぎの寝床のコーディネートによるセッションが開かれた。ここでは、工芸と生活を結びつける産地の役割が議論され、工芸にまつわる仕組みの再構築がひとつの焦点となった。
2019年、「FABRIC(ATION) ──ファブリック-エイション」をテーマに、絞り染めで知られる名古屋市・有松で第3回目となるテキスタイル産地ネットワークを開催する。伝統工芸産地としては珍しい2次加工産地として知られるここ有松では、「素材と製法」の革新について議論を進めたい。有松は東海道のような人の往来や鉄道などの交通網に恵まれ、愛知県・知多で製造された木綿に始まり、合成繊維やレザーなどさまざまな素材に絞り染めを施す技術が確立されてきた。こうした有松の歴史を踏まえ、「ファブリック-エイション」をバイオテクノロジーのような新たなマテリアルと、ロボティクスのようなテクノロジーを産地に迎え入れる機会にしたい。FabricとFabricationの両面から、これからの産地に求められる変革を前向きな議論されることを期待している。
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ありまつ中心家守会社
浅野翔・武馬淑恵・山上正晃
先行事例や開催地域ならではの取り組みを参加者全員で聞く3つの合同セッションと、各地での実践を学ぶ4つのパラレルセッションがおこなわれた。
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合同セッションのテーマ:1―リ・パブリックが探求する、持続的にイノベーションが起きる生態系ーXSCHOOL/XSTUDIO編、2―日本が保有する世界一の繭コレクションからの創造、3―世界の絣の歴史および筑後での新しい取り組み